ベランダが魅力的に見えた。
特に角は特別な力を持っている。
それはさながら、映画のタイタニックのワンシーンのように、
都市という大海に面して、その縁に立つことができるからだろう。
その体験はダイナミックなものだ。
「あわい」の建築に着目している。
あわいとは「向かい合うもののあいだ、また、二つのものの関係」の意味を持つ。
何かと何かが出会うところに、ダイナミックな空間が立ち現れる。
このベランダの角はそのことが起きている場所だった。
都市とそこに立つ人とのあわい。
その境界は何でもない腰壁一枚だけである。
そして高さによる距離感が、
都市と繋がっているが切り離されているという両方の感覚を生む。
近くのビルの屋上庭園でも人が佇んでいるのが見えた。
繋がっているが、繋がっていない感覚。
それが、とても現代的に思えた。
