京都大学附属図書館ラーニングコモンズ
(代表の北村のデザインユニット「OKAAA」(旧brouters)でのプロジェクトの紹介)
大学附属図書館の中にラーニングコモンズをつくるプロジェクトである。このプロジェクトは、図書館の職員、教員、学生のコラボレーションによって実現した。所属や専門領域を越えたチームメンバーで「新しいラーニングコモンズ」という1つのテーマについて話し合い、実現に向けて打合せを重ねた。そのプロセスが、学生の自主性や創造性を期待するラーニングコモンズのありかたを体現するようであり、プロジェクトの実現に向けて大きく貢献する推進力となった。
空間のデザインとしては、ラーニングコモンズに求められる機能、つまり従来の「一人で静かに」といった図書館学習とは異なる、「多人数での対話をしながら」の能動的な学習を促すことがコンセプトである。私たちは、当初は邪魔になりそうだと懸念されていた「既存の4本の柱」を有効活用し、「既存の書棚」と調和するように、均質な図書館空間の中に柔らかな曲線のデザインを挿入した。そうすることで、新旧の書棚が互いに緊張感を持った状態で共存する状態を目指した。大学キャンパスのシンボルツリーであるクスノキのように、この曲線の造作の周りに自然と人が集まる中心となるようにと考えた。天井からの照明に照らされ美しい陰影を描き、光の揺らぎある心地よい空間をつくり出している。