造作家具や内装を考えるとき、板材の選び方ひとつで空間の印象は大きく変わります。
今回は、設計の現場でよく使う「建築家おすすめの板材」を整理してみました。家具づくりや内装の素材選びの参考になれば幸いです。
1.ラワン材とシナ材
住宅・店舗を問わず、もっとも定番といえる板材です。
木目が素直で他の素材とも合わせやすく、空間になじみやすいのが魅力です。
ラワン材:
落ち着いたダークブラウンの仕上がりに向いています。押入れのイメージを持つ方もいますが、
実際には味わい深く、コンクリートなど硬質な素材との相性も良好です。
シナ材:
明るくナチュラルな仕上げにおすすめ。白い空間との調和が取りやすい一方、
濃い色を塗装すると木目が荒れて見える場合があるので注意が必要です。
空間の雰囲気に合わせて「コンクリートにはラワン」「白い内装にはシナ」といった選び方をしています。
画像左:ラワン材(上半分はクリア塗装)、右:シナ材
2.造作家具とランバーコア
家具づくりには「シナランバーコア」「ラワンランバーコア」をよく使用します。
表面に仕上材を貼り、中に芯材を挟んだ板で、強度があり加工もしやすいのが特徴です。
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使用厚み:t15〜t24程度
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よく使う寸法:t21 → 見た目がシャープで大工工事にも対応できる厚み
小口処理の工夫
板材をカットすると積層構造が見える「小口」が出ます。
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デザインとして見せる → 「小口あらわし」
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隠したい → シナテープ・ラワンテープを貼る(ただし剥がれのリスクあり)
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丁寧に仕上げる → スプルースt6などの木製枠材を使う
また、「積層合板」など小口の層をデザインとして活かす製品もあります。
3.構造用合板
本来は壁や天井の下地材ですが、あえて仕上げに使うと荒々しく力強い印象を演出できます。
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木目が強く、節も大きめ(個体差が大きいため選定が重要)
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節のないグレードも流通あり → 材木店に相談すると入手可能
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オイル塗装で印象が変化し、濃い色味をつけたいときにも有効
素朴でラフな雰囲気をつくりたいときに重宝します。
構造用合板(左:無着色、右:オイル塗装)
4.その他の候補
板材にはまだ多くの可能性があります。
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集成材(パイン、タモ、ナラなど)
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OSB合板
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木毛セメント板
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突板合板
少し予算に余裕があれば無垢材を使うことも選択肢に入ります。これらについてはまた別の記事で詳しくご紹介します。
