












01. デルタ開発地に浮かぶ船

02. 積層するボリューム

03. 平面構成


倉敷中島計画
デルタ開発地に浮かぶ船
倉敷市中島に建つ3階建てのテナントビル、96bldg.の計画である。敷地のある中島地区は、かつて東西に分岐していた高梁川の間に位置し、2つの川による三角州を更に干拓し発展してきた地域である。この地域の歴史を調査をすると、1400年代から続く開発の歴史資料が数多く残っており、デルタ地帯開発の連続によって成立した地域と言って過言ではない。現代の敷地周辺は国道が象徴的なロードサイドの風景ではあるが、開発をはじめとするこの地の人々の営みの延長としての風土でもあると感じ、デルタ開発地に浮かぶ船のような建築のイメージが閃いた。地層のように受け継がれた人工地盤の上に、3層のボリュームを更に積層させる形である。ボリュームは少しズレを生むように積み、ズレの部分が各テナントの外部空間となり、都市と各テナントを取り持つ場所となる。さながら船の甲板のようにそこに立てば、雄大な都市景観を眺めることができる。3層のボリュームは層ごとにそれぞれ異なる仕上げとして変化をつけ、層状の構成を強調する外観とした。内部空間は7つのテナントを計画し、細長い水平連続窓により光の変化をつけながら都市の風景を切り取っている。構造は木造としてローコストを実現しながら、シンプルな造形を維持することでテナント面積の合理化を行っている。中島の日常と共にあり、この場所が持つ大きな営みの中にレイヤーする厚みを持った建築となったのではないかと考えている。