工場と集住—重合する風景からの発見


大阪の街で、ある風景に出会いました。手前に工場があり、その奥に集合住宅が建ち並んでいる光景です。どちらも機能的な建物群でありながら、そこにははっきりとした対比があり、思わず立ち止まって眺めてしまいました。集合住宅は、同じ平面形が反復された「均質な空間」の象徴のような存在です。四角い建物の輪郭が先にあり、その内部に部屋が繰り返し配置されることで、明快な秩序が生まれます。一方、目の前にあった工場は、人工物でありながら不均質で、複雑な構成を内包していました。工場も集合住宅も、根底には機能主義的な背景があります。工場は製造や加工といった機能をそのまま形にした空間であり、集合住宅もまた、住宅を効率よく供給するための合理性から生まれています。機能が形を決めているという点では、両者は共通しています。あらためて工場の全体像に目を向けると、各工程に特化した部分がそれぞれ独立しながら、ひとつのまとまりをつくっているように見えます。部分が先にあり、それらが増殖するように集まった姿は、どこか生き物のようでもありました。

 

この工場のあり方を、「重合のシステム」と呼んでみたいと思います。ひとつひとつの部分が自律しながら結びつき、全体を形づくっていく構造です。全体を先に決めるのではなく、部分同士の関係性が更新されながら、増築的に姿が立ち上がっていく。その過程には、地形や周辺環境といった複雑な条件を受け止める柔軟さがあります。均質な空間がもたらしてきた美しさや効率性。一方で、こうした重合的な空間のあり方の中にも、これからの建築や都市を考えるための、多くのヒントが隠れているのではないでしょうか。

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