“木板塀”の塗装と表情
今回は、外構の「塀」に使用する木板(杉板)の選定プロセスをご紹介します。
素材として木を使う場合、耐久性や風合いをどうコントロールするかが重要になります。
とくに屋外で使用する塀の場合、雨や紫外線の影響を受けるため、保護塗料の選び方もポイントになります。

杉板と塗装の比較
上と下の写真では、杉板の塗装前後の比較をしています:
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左:杉板の素地(無塗装)
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中:オスモ ウッドステインプロテクター「パティナ色」1回塗り
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右:オスモ ウッドステインプロテクター「クオーツグレー色」1回塗り
木材は時間とともに、雨や紫外線の影響で自然にグレー化していきます。
今回選んだ塗料は、あらかじめグレーのトーンを含んだ色味にすることで、経年変化後も自然に馴染むように意図しています。
(ブラウン系や、レッド系、ブルー系といった他の色はブログの後半に色見本の写真を載せています)

保護塗料について
木板塀の塗装には、以下のような定番の塗料をよく使用します:
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オスモ ウッドステインプロテクター
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キシラデコール
どちらも耐候性に優れた屋外用の木材保護塗料で、色のバリエーションも豊富です。
ただし、塗りすぎには注意が必要です。
重ねて塗装しすぎると、せっかくの木目が隠れてしまいます。
そこで私たちは、
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1回塗り+クリア仕上げ という方法で、保護性能と木の表情の美しさを両立させるようにしています。

上記ができあがった塀の写真です。
左手に見えるH1200の杉板塀です。
使用した保護塗装はオスモウッドステインプロテクターのパティナ色。
パティナ色はグレー系ですが、塗ると杉本来の色味があるので自然な木色に見えます。
樹木やコンクリートとも馴染み、柔らかい印象があります。
別素材のバリエーション
以下は、別の物件で使用した塀材の一例です:
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下の写真左:杉板(ウッドロングエコ塗装)|木もちeフェンス
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下の写真右:セランガンバツ(中山源太郎商店の製品)
ウッドロングエコは専門誌で建築家が使うという情報を見て知りました。
セランガンバツは、ハードウッド(広葉樹系の硬木)と呼ばれる種類で、耐久性・堅牢性が高く、見た目にも“かちっとした”印象になります。
感覚的にいうと、
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柔らかい印象の庭には → 杉板
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しっかりした印象の庭には → セランガンバツ
と、植栽や建物の雰囲気にあわせて使い分けることが多いです。

色を探すプロセス
塗装色を決める際は、キシラデコールやオスモの色を実際に混ぜながら検討しています。
下記写真のようにサンプルに塗装して比較。
複数の色味を組み合わせながら、調和する色を見つけていくプロセスです。
塀だけでなく、外壁や内装材としても使えるため、
赤みのあるブラウンや、濃いグレーなど、日々試しながら色のストックを増やしています。


素材の個性と時間の経過をたのしむ
木材は、塗った直後だけでなく、時間とともに変化していく表情も魅力のひとつです。
外構や塀の素材選びは、“今どう見えるか”だけでなく、数年後にどう育っていくかを想像しながら選ぶようにしています。
設計においても、素材選定においても、時間の経過を味方につけることはとても大切。
今回の選定プロセスが、どなたかの参考になれば嬉しいです。