外構を考える|塀と砂利、そのディテールの話


 

今回は、外構のディテールについて書いてみたいと思います。

写真は、普段お世話になっている造園屋さんが計画されたお庭を、特別に撮影させていただいたもの。
実際に現場で見て、教えていただいたことや気づきが多くあったので、少しでも共有できればと思います。

 

 

石の使い方に「理由」がある

 

まずは、写真に写っている少し大きめの石について。

一見ランダムに置かれているように見えるかもしれませんが、実はそこにはきちんと意味があります。

  • 石は、ただ“装飾”で置くのではなく

  • 土を押さえる、段差をつくるなど必要な場所に機能的に置かれる

  • 自然の斜面や山の地形に近づけることで、植栽や環境になじむ工夫がされている

つまり、「石ひとつとってもそこに存在する理由がある」という考え方。
これはとても建築的な視点でもあると感じました。

 

 

塀の詳細と素材の選び方

 

この現場の塀は杉板張りで、8年が経過した状態のもの。
風を受ける構造物だからこそ、あえて板と板の間に**隙間(約10mm)**が設けられています。

この隙間があることで…

  • 強風時の圧を逃がす

  • 背景の風景がうっすら透けて見えることで、抜け感と奥行きが生まれる

  • ほどよいプライバシーの確保にもなる

ただしこの隙間寸法は、周囲の視線や使い方とのバランスをよく考える必要があります。
計画のたびに、関係者と慎重に検討したいポイントですね。

 

 

塀の扉のつくり方

 

次に、塀につく扉の構造について。

  • 支柱:40×40のスチール角パイプ(錆止め塗装)

  • 木材:同じく40×40の木材をスチールに固定し、蝶番をつけて扉を設置

なぜ鉄を使うのか?
それは耐久性の面が大きいからです。スチール角パイプであれば、ビスの固定もしやすく、しっかりした構造になります。

過去にスチールアングルでも試しましたが、強度的に少し“ぶらつき”が気になったそうです。

ちなみに、木製の支柱は数年で劣化が進みやすいため、鉄かアルミが長持ちします。
ただし個人的には、アルミよりも鉄の質感の方が庭になじむと感じています。
アルミの“かちゃっと軽い”感じは、石や植栽と並んだときにやや浮いて見えることがあるんです。

 

 

石の個性と“出会い”

 

写真にある白っぽくて長い石は、アンティークの「のべ石」
一方、少し土がついたゴロゴロした石は、**「グリ石」**です。

のべ石は、造園屋さんが普段の現場などで「これはいいな」と思ったものをストックしているとのこと。
形も大きさも不揃いですが、一期一会の素材として、お庭に個性を与えてくれます。

 

 

グリ石という発想

 

上の写真では、グリ石を水で洗っている様子。
本来は基礎の下地などに使われる石ですが、それを庭に転用するというアイデアにとても惹かれました。

ただし、グリ石にも向き・不向きがあります。

  • 地域や現場によって色味が異なり、青みが強すぎたり、グレー一色だったり

  • お庭に使うには色のバランスを見て判断する必要があります

たとえば、新築住宅の造成工事中に、以前使われていた良い感じのグリ石が出てきたら、再利用するというのも面白いかもしれません。

これは再現性がまだ読めない部分ではありますが、今後の研究テーマとしても面白いと感じています。

 

 

外構に込められた、見えない意図

 

今回あらためて思ったのは、見た目はさりげない外構にも、きちんとした意味や工夫が詰まっているということ。

石も塀も、素材も構造も——
その一つひとつに「なぜそうしているのか」という設計の意志が込められている。

そうした細部の積み重ねが、空間の心地よさや時間の豊かさに繋がっていくのだと思います。

 

また別の現場でも、外構や素材選びの学びを記事にしていきたいと思います。

 

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