連載コラム “廃墟”


廃墟には空間の押し付けがましさがない。廃墟が過去に持っていた機能は時間とともに風化している。現在は新しい機能を求めて、ただただ吸引力を持つのみである。私たちは、普段あまりに多くの「特定の機能を前提とした空間」に囲まれ過ぎている。廃墟の中に身を置くと、機能に縛られた日常を離れて、とても清々しい気持ちになる。誤解を恐れずに言うと、廃墟のような空間をつくりたいと考えている。

 

廃墟は自然と人工のあいだの存在であり、建築ではない。建築は人がつくるものだからである。人がつくると意図が介入し、その意図が強すぎると出来上がった空間が押し付けがましくなる。例えば、勉強するためと強く意図された場所では、逆に勉強したくないといった具合に。建築は生活のための器であるから、必要な機能を満たしながら、最大限に使いやすい空間として設計を行う。その上で、空間と機能のギャップを楽しめるようにと心がけている。ギャップとは、1つの用途だけでなく、こう使っても面白いと住まい手の想像力を掻き立てるものだ。使いこなしてみたいと思わせる本質的な魅力があるものだ。「よい建物は、素晴らしい廃墟を生みだす」とは建築家のルイス・カーンの言葉である。建築と廃墟はつながっている。

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