伝統と現代性
伝統の中に、いまなお新しい感覚を見出す。地域の風土、愛されてきた素材の手触り、光や風を取り込む知恵、身体に馴染む寸法。それらは過去のものではなく、人の暮らしや場所の声を受け入れながら、一本の線で結ばれてきた感覚である。
私たちは伝統を再現するのではなく、その本質を見つめ、現代の空間へと翻訳していく。古いものと新しいもの、静けさと自由さ、普遍性と個性が出会うところに、まだ見ぬ空間の奥行きが生まれる。伝統と現代性のあいだにある関係を手がかりに、時代を超えて残り続ける美しさを探求している。
時間と関係性と層
私たちは、時間をまとったものに惹かれている。古い道具には、人に触れられ、使われ、受け継がれることでしか生まれない表情がある。当初の役割を離れて、思いがけない存在へと変化していく姿に、ものと人が関わりあいながら、ともに育っていく豊かさを感じている。
建築もまた、土地の自然、人の暮らし、社会の動きと関わりながら、少しずつ姿を変えていく。私たちは、そうした時間と関係の重なりを手がかりに、人とともにあり、次の時代につながっていく建築を考えている。
Architecture is understood as a bundle of different temporalities.
土地、敷地、構造、外皮、設備、物などを、長く残るものと変えられるものに整理し、異なる時間感覚の束から建築を考える。
Reference
Stewart Brand, How Buildings Learn
Each layer is designed with its own order.
それぞれの層ごとに固有の秩序を見いだし、その性質と価値を顕在化させる。
Reference
John Habraken, Open Building
Differences between old and new are revealed, not concealed.
これまでの時間と新しい介入が出会うことで、互いの差異が響き合う。
Reference
ICOMOS, ヴェネツィア憲章
Stories emerge in the in-between.
AとBが触れ合うあわいに、新しい関係と物語が生まれる。
Reference
Aldo van Eyck, The In-between Realm
Layered, proliferative, and articulated.
建築を分解と再接続が可能な集合体として捉え、要素同士が新たな関係を結ぶ余地をつくる。
Reference
Manuel DeLanda, Assemblage Theory
