連載コラム “境界と定着”


建築とは、最も抽象化して考えると「境界」をつくることである。境界を構成するものが柱や壁、屋根であったりして、その集合体が建築物となる。境界だけでも成立するが、境界によってできた空間に人が「定着」することが重要だと考えている。人が定着するとは、そこで時間を過ごしたいと思わせる「何か」があることだ。

 

何かは、求心力があるものや、愛着の湧くものなど、いろいろな方向性がある。写真は千葉の海岸の風景である。境界と定着は自然の中にもみてとれる。写真では、切り立った岸壁が境界をつくっている。空まで覆うことはないが、岸壁の下には洞窟のような凹みがある。凹みの部分は、そこでキャンプでもしてみたいと思わせる「何か」があると感じた。実際に凹みの中に座ってみると、包まれるように落ち着いた空間で、周囲の自然から守られている感覚になった。写真右下の岩も魅力的だ。岩がひとつあるだけで、思わず走って近くに行ってしまう。これらは人を定着させる力を持つものだ。

 

人間は自然や建築物といった環境に対して、境界と定着を発見することができる。居心地のよい空間は、境界によって程よく領域があり、定着力をもつ要素が魅力を感じさせ、両者がよいバランスで成り立っている場所だ。建築設計は、建築物を通して、そこで時間を過ごしたいと思わせる「何か」をつくることだ。

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