三軒茶屋での実験から
先日、東京・三軒茶屋で開催された「社会実験 SANCHA STREET TERRACE」に参加しました。私北村が所属するチームは、ストリートファニチャー 「JELLY SANCHA」 をデザインし、実際に設置しました。作品の詳細は OKAAAの下記HPにまとめています。
(▶︎作品ページ)
透明な波板とラワン合板を組み合わせた小さな家具群で、高さや形にバリエーションを持たせ、ベンチやテーブルとして使えます。道行く人が自然に腰を下ろし、街の中で時間を過ごす。そんな、街にひらかれた居場所を目指した実験でした。
「Power of 10+」の視点
設計当初は、「座る」「休む」といった基本的な行為を想定しつつも、使い方を限定しすぎないよう、余白を残した構成としました。実際に設置してみると、想定していなかった使われ方が、少しずつ見えてきました。子どもたちが運んで遊ぶ。動かして組み合わせる。一つに二人が座る。買い物途中に荷物を置く。即席の展示台になる。などなど。ひとつの家具をきっかけに、様々な「やること」が広がり、場所に滞在する理由が増えていく様子が見られました。
この経験は、アメリカの都市デザイン団体PPSが提唱する「Power of 10+」という考え方と重なります。それは、「良い場所には10以上の“やること”があり、さらに市民参加や偶発的な出来事を受け入れる“+”の余白が重要である」という、シンプルで力強い視点です。
面白い場所を生むために
上記を参照すれば、「面白い場所には、10以上の魅力的な要素がある。」ただし、それらすべてを主催者やデザイナーが用意すればと良いということではありません。重要なのは、10の可能性を意識しつつ、人々のふるまいが自由に加わる余地もあることです。+αが重なることで、場所は思いもよらない豊かさを獲得していきます。JELLY
SANCHAは、その小さな「きっかけ」をつくる装置でした。街の一角を、「ただ通り過ぎる場所」から「滞在したくなる場所」へと変えていく可能性を、感じることができました。この「10+」の視点は、都市レベルでは「良い都市には10以上の魅力的なスポットが必要である」という考え方につながり、個々の場所のレベルでは「良い場所には10以上の“やること”が必要である」という実践へと展開できます。建築に置き換えれば、「住宅の中に10の面白い場所をつくる」といった発想も十分に可能でしょう。人と街の距離を縮める場づくりを、今後も探求していきます。
